ZOZOの前澤社長が、2018年の納税予定額が約70億円とtwitterで発言して話題になりました。なんでこんなに高いのか?年収や内訳はどうなっているのか?公表情報から予想してみました。
twitterでの発言
2016年度77億円、2017年度34億円、2018年度70億円(予定)。個人での国内における所得税や住民税などの納税額です。買い物もするけど、税金もしっかり納めております。これからももっと稼いでいっぱい買い物して、いっぱい納税します!
— Yusaku Maezawa (MZ) 前澤友作 (@yousuck2020) 2018年10月4日
70億円の税金を1年で、しかも個人で納めるのは驚愕です。
年収、手取りの予想
2018年前澤社長の収入予想
納税額70億円という発言から、公表されている情報を使って2018年の前澤社長の収入、手取り金額について予想してみたところ、
年収は266億8,000万円、手取りは187億9,847万円と計算できました。
(税額が70億より上回ると仮定して、約79億として計算しました)
収入のなかでは株式譲渡の寄与が非常に大きいと予想できます。
収入 | 税額 | 税率 | 手取り | |
給与 | 9,900万 | 5,445万 | 55% | 4,455万 |
配当 | 35億8,100万 | 19億6,956万 | 55% | 16億1,144万 |
株式譲渡
(みなし配当) |
50億0,000万 | 27億5,000万 | 55% | 22億5,000万 |
株式譲渡
(譲渡所得) |
180億 | 36億5,670万 | 20.315% | 143億4,330万 |
配当控除 | △5億4,918万 | 6.4% | 5億4,918万 | |
合計 | 266億8,000万 | 約79億 | 187億9,847万 |
※単純化した計算のため、給与所得控除は考慮していません。
※所得控除、税額控除は考慮していません。寄付をされている発言もあるので、恐らくもっと収入や手取りは多いはずです。
※その他は、給与、配当、株式譲渡の予想税額では70億円に満たなかったため、70億円の差額として求めて、保守的に最高税率55%を使用して計算しました。
※あくまで予想、かつ単純化した計算のため、事実とは異なる点ご了承ください。
予想の前提:給与
株式会社ZOZOは上場会社のため、有価証券報告書で役員報酬の情報を開示しています。
ただ1億円以上でないと個人別の役員報酬は開示されないため、株式会社ZOZOグループから前澤社長への役員報酬は1億円未満という点しかわかりませんでした。
そこで9,900万円を報酬として予想し、税率は55%、税金は5,445万、手取りは4,455万と予想しました。

有価証券報告書 平成30年3月期
予想の前提:配当
前澤社長は株式会社ZOZOの創業オーナーなので、大量の株式を保有しています。株式会社ZOZOは配当を年2回行っており、これも前澤社長の収入になっています。

出典:(株)ZOZOのHP、2018年10月5日時点
2018年に受け取る配当は、2018年3月期の期末配当(17円)と、2019年3月期の中間配当(14円)と予想されます。また下の株式譲渡でもでてきますが、前澤社長の持株数は2018年3月期の期末配当権利確定時点では118,226,600株、その後5月に600万株を売却し、112,226,600株となっています。売却後の株式保有割合は、37.94%です。
配当と持株数をかけて算出した配当収入は、118,226,600株×17円+112,226,600株×14円=2,009,852,200+1,571,172,400=35億8102万4,600円となります。
前澤社長は大口株主(発行済株式の総数等の3%以上に相当する数を保有する個人株主)なので、総合課税による税率がかかります。税率は国税が最高税率45%+地方税10%としました。
予想の前提:株式譲渡
この株式譲渡がH30年の前澤社長の最大の所得ですが、前澤社長は2018年5月23日に、株式会社ZOZOに対して株式会社ZOZOの株式600万株を1株3,845円で売却しています。
3,845円×6,000,000株=230億7,000万円の収入です。
大量保有者の持株数の変動は開示義務があるため、情報はこちらで公開されています。またZOZOにとっても自己株式の取得のため情報公開されています。
一般的に上場株式を売却すると、国税と地方税合わせた税率は20.315%です。
しかし前澤社長の株式譲渡は、株式会社ZOZOの自己株式取得の一環で、市場外で行われています。そうなると、税務上「みなし配当」という所得が発生します。
売却単価のうち、税務上の「一株あたり資本金等の額」を超える部分は、株の売却ではなく配当!として、売却益を配当と株式の譲渡とに分けて考えるんです。
みなし配当の部分は「株式譲渡」ではなく「配当」とみなされて総合課税の対象となり、高い税率(前澤社長の場合55%)がかかります。
みなし配当の金額を計算するためには、公開されていない税務の情報が必要なので、みなし配当がいくらかはわかり得ません。
なので今回は税額70億に近づくように推定して計算しました。
予想の前提:配当控除
配当を総合課税で申告する場合は配当控除ができます。配当所得のうち一定割合には税金がかからないというものです。
収入により控除の税率は変わりますが、前澤社長の所得の場合は、国税5%、地方税1.4%と概算します。
まとめ
ここまでで前澤社長の主な収入は、ZOZO株式に関するものだとわかります。
創業者は給料をたくさん貰わなくても、株をたくさん持っているため、配当や株の譲渡で大変多くの収入があるんですね。
大口株主の配当が給料と同じで総合課税になっているのはよくできているな・・・と感じました。
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